ときめき神社旅

Happyな人生のための神社参拝記

新型コロナウイルス感染終息を願う ~少彦名神社(大阪)~

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新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、日本でも4月7日、初の緊急事態宣言が発令されました。
中国武漢で発生した当初は、また中国か~と対岸の火事を見ているような感覚でしたが、まさかここまで感染が拡大し、世界中が非常事態に陥るなんて誰が想像できたでしょうか。

日本よりも人口の少ないイタリアやスペインでは、毎日何百人という方が亡くなり続け、気がつけば、アメリカはそれ以上に大変な事態になっている。。。
あっちでも、こっちでも、ロックダウン(都市封鎖)が起こり、世界人口の半分以上の方達が移動制限を強いられ、経済活動も虫の息状態。
私達はまさに今、地球的規模での歴史的な非常事態に直面しています。
そして、日本でも感染者数がこれまでとは違う勢いで伸び始め、油断できない状況という所での緊急事態宣言でした。

こんな時こそ、祈りたい。
でも、緊急事態宣言が出た後では、神社仏閣への参拝もしずらくなるかもしれない。
そう思った私は、居ても立っても居られず、大阪道修町にある少彦名神社を訪れました。
緊急事態宣言が発出される8時間前のことでした。

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◆“薬の町”道修町

少名彦神社が鎮座する道修町は、大阪の“薬の町”で、日本の医薬品産業発祥の地として知られています。
豊臣時代頃から薬種取引の場として薬種業者が集まり、ここから全国に薬が売りさばかれていました。
その名残で、今でも数多くの医薬品関連会社が、ここ道修町に集積しています。
武田薬品工業田辺三菱製薬大日本住友製薬小林製薬塩野義製薬といった名だたる大手製薬会社の本社や中小薬品会社等々、数多くの製薬/薬品関連会社が存在している薬の町です。
そして、今でも界隈の医薬品関連会社から厚く敬われている神社、それが少彦名神社なのです。


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◆日本医薬総鎮守「少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)」

少彦名神社のご由緒と御祭神

少彦名神社は、安永9年(1780年)に、それ以前から道修町薬種商たちが祀っていた神農さん(しんのうさん)とともに、京都五条天神社から少彦名命(すくなひこなのみこと)の分霊を勧請・合祀したのが始まりとされています。
少彦名命は、医療・医薬に関係の深い神様です。
また、出雲の大国主命(おおくにぬしのみこと)の片腕として、国造りにも力を尽くした事でも知られています。
大変小さな神様で、童話「一寸法師」の原型とも言われています。

御祭神は、日本と中国の医薬の祖神と言われている二柱です。

少彦名命(すくなひこのみこと)
 日本医薬の祖神、常世の神 
神農炎帝(しんのうえんてい)※神農さん
 中国医薬の祖神、商売の神
 

コレラ少彦名神社

新型コロナウイルス感染が日本でも拡がり始めた頃、大阪で密かに注目された神社が、こちらの少彦名神社でした。その昔、コレラの病を治した神社として知られていたからです。
江戸時代終期の文政5年(1822年)、大阪でコレラが流行した時、道修町の薬種仲間が、虎の骨を使った疾病除けの薬「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」という丸薬と、「神虎(張り子の虎)」のお守りをつくって神前で祈願し無償で配ったところ、コレラの病が平癒したと伝えられています。
新型コロナ感染が拡がっている今、当時と同じように少彦名神社に救いを求めるというのも大いに頷けます。

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ビルの間にある細い参道から境内へ

少彦名神社は、大阪メトロ堺筋線「北浜駅」6番出口から堺筋を南に徒歩2~3分程下り、道修町通に入ってスグの場所にあります。“神農さん”と張り子の虎の絵の看板が目印です。

ビルの間の参道入口には、石柱の注連柱が立っており、そこには「定級療病方威蒙 其恩頼」という文字が刻まれています。
やまいをおさむるのりをさだめたまひ、みなそのみたまのふゆをかがふれり」。
正二位伯爵 源通禧の言葉(日本書紀)のようです。
~病が収まりますようご神徳がありますように~というような意味ですね。
少彦名神社が持つ働きを、明確に表している注連柱です。
この言葉をしっかりと心に刻んでから、注連柱をくぐります。

路地のように細い参道脇には、家庭薬の数々が陳列ケースに並べられて紹介されています。
これらは、日本家庭薬協会会員企業のロングセラー商品で、伝統薬を大切に育ててきた会社の商品情報を伝える事を目的としたものだそうです。

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参道の先には本殿(拝殿)があります。その向かって右側にある手水舎は、感染予防対策のため使用できないようになっていました。代わりに、アルコール消毒液が設置されていたので、それをワンプッシュ手にかけてから拝殿へと向かいます。
拝殿の両脇には「祈 コロナウイルス退散」の表示が掲げられ、疾病退散のお守りである張り子の虎が置かれています。これらが、今が平時ではない事を参拝者に強く印象づけています。

先におられたビジネスマンお二人の参拝終わりを待って、私も拝殿へと進み、新型コロナウイルス感染の一刻も早い終息を祈願させていただきました。
参拝が終わり後ろを振り返ると、数人の方が列をなして静かに並んで待っておられました。
道修町のオフィス街は、普段よりも人の往来が少ない印象でしたが、少名彦神社では、程よい具合に参拝者が途切れません。皆さん、コロナウイルス退散祈願で、参拝に来られているのでしょうか。

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御朱印

参拝後は御朱印を頂きに社務所

現在こちらの神社では、鎮花祭(はなしずめのまつり)神事に合わせた、限定版の御朱印を紙で授与されています。
鎮花祭とは、花のはなびらが散る頃に活動すると言われている、疾病の流行を鎮める神事のこと。
新型コロナウイルスが流行している今年は、疾病退散を目的とした鎮花祭を多くの方に知っていただきたいとの理由で、この特別な御朱印の授与を4月30日まで行うそうです。
こちらの御朱印は2種類用意されていますが、私は御朱印帳に貼れる小さいサイズのものを頂きました。
ちなみに今年の鎮花祭は、4月17日9時半から斎行されます。
この神事により、この感染が鎮まる事を願わずにはいられません。

コロナ感染終息を願い奉納された絵馬の数々

こちらの神社では、絵馬を奉納する事もできます。
参道裏にある奉納された絵馬を拝見すると、“日本医薬総鎮守”の神社とあって、病気平癒や健康祈願の他にも、医師や看護師、薬剤師の国家試験合格祈願なども目立ちます。
ですが、新しく奉納された絵馬の半数以上は、新型コロナ退散を祈願するものでした。
 “田舎のおじいちゃんが、コロナウイルで肺炎になりませんように”
 “コロナウイルスから身を守り、家族が健康第一で過ごせますように”
 “コロナウイルス感染が一日も早く終息して、世界に穏やかな日常が戻りますように”
 “コロナのワクチンや治療薬が早く出て、多くの人たちの命が救われますように”
 “疾病退散 世界平和”
  ………etc.
遠く離れたお爺さんや家族のために、日本や世界の人達のために、人類のために、純粋にウイルス退散を祈願して奉納された絵馬の数々。
そこにあるのは、ただ愛のみ。
その愛のエネルギーが心に深くに突き刺さり、胸が熱くなりました。

新型コロナウイルスが、世界中から一刻も早く退散し、人々から笑顔が戻りますように。
そして、経済が早く蘇り、活気に満ち溢れた世界に戻りますように。

次にこの神社に参拝するのは、感染が終息した時のお礼参りに。
その日が一日も早く訪れるよう、強く願いながら少彦名神社を後にしました。

◆コロナが終息したら訪れたい、道修町ミュージアムストリート

道修町通堺筋から御堂筋の間の東西約300mのエリアには、医薬品に関する5つの展示施設が点在し、ここを「道修町ミュージアムストリート」と呼んでいます。

その中で中心となる施設が、少彦名神社の西隣、社務所3階にある「くすりの道修町資料館」でしょう。この施設は、1997年(平成9年)に、道修町に関する諸資料を町全体で保存し、公開する事を目的に開館されました。
コンセプトは、“ここへ来れば道修町がわかる”。
私も数年前に一度訪れた事がありますが、コンパクトなスペースに、町や人、薬の歴史がパネルや現物展示等でわかりやすく紹介されていました。
中でも、昔の薬のパッケージや昭和時代の広告、おまけプレミアム商品等の展示物は、特に興味深く印象に残っています。

他の4つの展示施設は、いずれも製薬会社の建物内で展開されています。
この中で一番古い展示施設が「杏雨書屋」。
武田薬品工業の寄付により設立された、公益財団法人 武田科学振興財団が運営しているもので、中国や日本の伝統医学の薬に関する書籍“本草医書”を中心とした図書資料館になっています。
重要文化財や国宝などの貴重な資料も多数収蔵されている、専門的な施設です。

家族でも楽しめる施設が、田辺三菱製薬大阪本社ビル内にある「田辺三菱製薬史料館」。
ここでは、道修町の薬の歴史と文化紹介の他に、田辺三菱製薬のあゆみと企業活動を、スタイリッシュな展示スタイルで楽しく紹介しています。
薬や体に関するクイズコーナーは、大人はもちろん、お子さんでも楽しみながら学べるようになっています。

大日本住友製薬塩野義製薬本社は、いずれも1階ロビーで100年を超える企業の歴史をギャラリー形式で展開しています。

これら5つのミュージアムは、いずれも無料で開放されていますが(平日のみ)、緊急事態宣言下の今は全館休館中です。
コロナが終息した際には、少彦名神社への参拝を兼ねて、是非道修町ミュージアムも訪れてみてください。

◆神社基本情報

日本医薬総鎮守 「少彦名神社(神農さん)」
 ホームページ http://www.sinnosan.jp/index.html
(御祭神)
 少彦名命、神農炎帝
(ご神徳)
 病気平癒、健康成就
 
(住所)
 〒541-0045 大阪市中央区道修町2-1-8
(アクセス)
 大阪メトロ堺筋線「北浜」駅 6番出口より徒歩5分。
 大阪メトリ御堂筋線淀屋橋」駅 11番出口より徒歩10分。
 京阪電車 京阪本線「北浜」駅 27番出口より徒歩8分。